
今日はお店でご紹介している中でも、私が特に心からおすすめしたい一脚、マルニ木工の「ラウンディッシュチェア」× ミナ ペルホネンの張地についてお話しします。丸みを帯びたやさしさ、素材の美しさ、職人技の精密さ、そのすべてが、日本の木工文化と現代デザインの融合を感じさせる、その魅力をご紹介します。
マルニ木工というブランドの背景と哲学
1928年創業の マルニ木工(Maruni Wood Industry Inc.) は、
広島県で生まれた日本有数の木工家具メーカーです。
創業以来掲げる理念は「工芸の工業化」。
職人の手仕事の温かみを失わずに、機械化で安定した品質を生み出すという哲学を貫いています。
「100年使える定番家具を、日本から世界へ。」
この考えのもと誕生したのが MARUNI COLLECTION。
深澤直人氏、ジャスパー・モリソン氏、セシリエ・マンツ氏など、
世界的デザイナーが手掛ける“日本発の世界基準デザイン家具”です。

やさしさを感じるフォルム ― 深澤直人デザインの魅力
ラウンディッシュチェアは、デザイナー深澤直人さんによるデザイン。
曲線のバランスが本当に絶妙で、座った瞬間に「包まれるような安心感」があります。
背もたれの丸み、アームの高さ、脚の角度――どの角度から見ても美しく、
シンプルなのに「人のために作られた形」を感じます。
4. ラウンディッシュチェアの特徴・座り心地
ラウンディッシュチェアの魅力は、名前の通りの “丸み(Roundish)” にあります。
- 背もたれと座面がなめらかにつながる一体感あるデザイン
- 成型合板による柔らかな曲線が背中を優しく支える構造
- 座面のクッション(張座タイプ)は体圧を分散し、長時間でも快適
- どの角度から見ても美しく、後ろ姿もインテリアの一部になる
そのため、ダイニングだけでなく書斎・ホテルラウンジなどでも人気があります。
◇◆ミナ ペルホネンとは
minä perhonen(ミナ ペルホネン) は、1995年にデザイナー 皆川 明(みながわ・あきら) 氏が設立した日本のファッション・テキスタイルブランドです。
名前の “minä perhonen” はフィンランド語で「わたし(minä)」「ちょうちょ(perhonen)」を意味し、
「日常を美しく羽ばたかせるようなデザインを」という想いが込められています。
ファッションだけでなく、
テキスタイル・インテリア・食器・家具など、生活に寄り添う総合的なデザインを展開しています。
特徴的なのは、「模様」「刺繍」「織り」の表現力。
機械的ではなく、どこか“手仕事の温度”を感じるデザインが多くの人に愛されています。
◇◆ミナ ペルホネンのファブリックが人気な理由
ミナ ペルホネンの生地は、単なる布ではなく「物語を持つテキスタイル」と呼ばれます。
それぞれの柄に名前とストーリーがあり、どのパターンにもデザイナーの思考や詩的な意味が宿っています。
マルニ木工 × ミナ ペルホネンのコラボレーション
マルニ木工では、MARUNI COLLECTIONの張座仕様で「ミナ ペルホネンの生地」を選択可能なシリーズがあります。
これは単なる張替えオプションではなく、“木と布の出会い”をデザインとして成立させた特別な組み合わせです。
コラボの背景
- 両者に共通するのは「日本の手仕事の美しさを現代に生かす」という理念。
- マルニ木工の木工技術と、ミナ ペルホネンのテキスタイル表現が調和することで、
椅子がアートような存在に昇華します。 - 深澤直人デザインのシンプルなフォルムに、柔らかな刺繍や織り柄が加わることで、
無機質ではない、温度のあるデザインが生まれます。
🌟私が「ミナ ペルホネン × マルニコレクション」をおすすめする理由
インテリアを選ぶときに大切にしているのは、「長く使えること」と「心が安らぐこと」。その両方を満たしてくれたのが、マルニ木工のマルニコレクションです。中でも深澤直人さんがデザインしたラウンディッシュチェアは、まるで人の体を包み込むようなやさしい形をしています。どこに触れても角がなく、滑らかな曲線がつながるデザインは、使うたびに穏やかな気持ちにさせてくれる不思議な魅力があります。
そしてマルニ木工とミナ ペルホネンには共通点があります。それは「日本の手仕事を現代の暮らしに生かす」という哲学。マルニ木工は、広島で90年以上木と向き合い、職人の技を工業技術と融合させて家具を作り続けてきました。一方のミナ ペルホネンは、糸や布を通じて人の感性を表現し、生活の中に“心の余白”を生み出すデザインを大切にしています。この二つが重なり合うことで、ただの家具ではない、感性が宿る道具が生まれるのだと思います。
家具を選ぶというのは、単に見た目や機能を選ぶことではなく、自分の暮らし方を選ぶことだと思います。ミナ ペルホネンの生地をまとったマルニ木工のラウンディッシュチェアは、穏やかで静かな存在感を放ちながら、日々の生活にやさしいリズムを与えてくれます。
朝、座ってコーヒーを飲むとき、夜、照明の光の下で本を開くとき、その小さな瞬間に、ふと「この椅子を選んでよかった」と感じる。そんな時間が、この組み合わせにはあります。
私がこの組み合わせをおすすめする理由は、デザインの美しさだけでなく、そこに人の心が宿っているから。長く使うほどに愛着が増し、時間とともに深みを帯びていく…そんな家具こそ、本当にいい家具だと思うのです。