
ユーフォニアム、または ユーフォニウム、ユーフォニュームは、金管楽器の一種。一般的にB♭管で、幾重かに巻かれた円錐管と、通常4つのバルブ(弁)を持つ。音域はテナーやテナーバスのトロンボーンとほぼ同じであるが、それよりも幾分か柔らかく温かみのある音色を奏でる。ユーフォニアムは、ヴァイマルのバンドマスターであったフェルディナント・ゾンマー(Ferdinand Sommer)が自身専用のソロ楽器として発案したゾンメロフォン(Sommerophone)を元に改良が加えられ、一般に使われるようになった。もともとはオイフォニオン(Euphonion)と呼ばれたが、この名前はギリシア語の“euphonos”(eu=良い、phone=響き)に由来する。日本におけるユーフォニアムの歴史は、明治3年(1870年)にイギリスよりユーホーニオンが到着したことにより始まった。日本人初のユーフォニアム奏者は、明治2年(1869年)に薩摩藩によって集められた軍楽隊の伝習生、尾崎惟徳(平次郎)であった。軍楽隊の伝習生は、当初イギリス式教育を受けたが、明治3年に陸海軍が分離されたあと、海軍軍楽隊はイギリス式教育(のちにドイツ式教育)、陸軍軍楽隊はフランス式教育を導入したため、ユーフォニアムに相当するパートに関しては、海軍では「ユーフォニオン、バリトン」、陸軍では「プチバス、小バス」などとさまざまな名称で呼ばれていた。遺されている多くの画像によれば、いずれもおもにフランス式の楽器(サクソルン・バス)が使われていたことがわかるが、一時期の海軍や音楽学校、各種音楽隊、学校教育における吹奏楽部などでは、指導者の方針により、ドイツ式バリトンや(小バスではない)ユーフォニアムなども使われていた。第二次世界大戦敗戦後に米国より導入されたスクールバンドの普及により、日本においては名称は「ユーフォニアム(ユーフォニウム)」に定着し、楽器もイギリスで発展したピストン式の4バルブユーフォニアムが一般的になっている。このため創作文芸の世界でサクソルン・バスやドイツ式バリトン、バリトン・ホーンなどの出現する機会はほとんどなく、日本の吹奏楽の作曲コンテストでこれらの楽器が要求されることはあまりない。おおよそ1960年代からユーフォニアムを専門とする演奏家が活躍を始めた。その後、ユーフォニアム部門のコンクール開催や国外演奏家の来日などにより、専門家としての能力と指導力を身につけたユーフォニアム奏者たちは、続々と音楽大学の講師として赴任し、日本の演奏家による国外での活躍も見られるようになった。近年では新しい音響素材として目を向ける作曲家がいる。
※情報はWikipediaより抜粋