
トロンボーンは、金管楽器の一種である。語源はトランペットを意味するイタリア語trombaに、「大きい」を意味する接尾語 (-one) を付けたものであり、「大きなトランペット」という意味である。通常、「トロンボーン」と呼称する場合はテナートロンボーンのことを指す。アルトトロンボーンはテナートロンボーン奏者が持ち替えて演奏する。バストロンボーンは同属楽器ではあるものの、明確に違う楽器として取り扱われる。非常に古い歴史を持つ楽器であり、起源はトランペットと共通である。ドイツのハンス・ノイシェルが現在の形に完成させ、それから約500年以上もの間、基本的な構造が変わっていない、古い種類の楽器である。地域によっては、古くはサックバットと呼ばれた。15世紀頃にスライド・トランペットの一種から発生したと考えられており、基本的な構造は昔の姿をそのまま留めている。ただし、細部のデザインは異なり、奏法も現代のトロンボーン奏法とはかなり異なる。トロンボーンの音域は成人男性の声域に近い。またスライドによって音程をスムーズに調整できる事から得られるハーモニーの美しさなどから「神の楽器」といわれ、教会音楽に重用された。古くからカソリックのミサにおける聖歌の合唱等の伴奏楽器に使われ、オラトリオ(ハイドンの天地創造など)やレクイエム等にも多用されているが、世俗的な音楽においては使用を自重する風潮があり、さらにプロテスタント圏のドイツ地域では使用されない傾向があった(プロテスタント地域で活動したバッハやテレマンの宗教曲ではトロンボーンはほとんど使われていない)。交響曲で最初にトロンボーンを使ったのはベートーヴェンで、交響曲第5番の第4楽章で用いた。これは当時「世俗」的と考えられていた交響曲に、教会で使われていた「神聖」な楽器を使ったという点で画期的なことであった。大編成のオーケストラに定席を得たのはロマン派の時代である。19世紀、おそらく1820年代にはバルブ(ロータリー)の追加が行われた。これ以降各地のオーケストラでは、スライドを廃してトランペットのように3本のピストンによる操作をするバルブトロンボーンが盛んに使われたが、19世紀中葉から第一次世界大戦前後にかけて徐々にスライド式の楽器が復権していった。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団では1880年頃までバルブ式だったと言われている。バルブ(ロータリー)の改良はさらに進み、円錐形のセイヤー・バルブ、円柱を横倒しにした形のハグマン・ロータリー、ヤマハの細長いVバルブをはじめ、トラディショナルロータリーを各社が改良したものなど、様々な機構が開発されている。
※情報はWikipediaより抜粋