トランペットは、リップリード(唇を発音源とする)の気鳴楽器の一つ。略称は 「Tp」など。ホルンボステルとザックスの楽器分類法においては「トランペット」をリップリードの気鳴楽器の総称として用いているが、現在一般には管弦楽や吹奏楽、ジャズなどで用いられる金管楽器の代表的なものをさす。語源は貝殻の一種を意味するギリシア語のstrombosであるとされる。貝殻をはじめ木、竹、樹皮などを材質とした円筒形のリップリード楽器は世界各地に分布しており、この種の原始的トランペットは管の一端に吹き口が設けられているものが多いが、一端が閉じていて管の横に吹き口をあけたタイプも少なくない。しかし、現在一般にいうトランペットの直接の祖は、13世紀以降イスラム圏からヨーロッパに伝来したナフィールnafīlである。これは金属性の長い円筒状直管に朝顔管のついたリップ・リード楽器で、やがて長い円筒状管を基本とし、管をS字などに曲げたものに変形されていった。16~18世紀はこの種の長管自然トランペットの全盛期である。これは変音装置がなく、自然倍音を唇と呼気で調節するものであった。そこで、よりたやすく音の選択の幅を広げるためにはさまざまな管長の替え管を必要とした。この不便さを解消するためにスライド式にしたり、管に音孔をあけたものがつくられたが、音質の点で難があり、結局19世紀初頭に変音弁(バルブ)付きのものが実用化されるに至る。しかし、当初は長管にバルブが装置されたため、高音の運指が複雑化してしまい、より簡単なコルネットのほうがトランペットよりも広く用いられた。19世紀末により機動性を高めるべく、コルネットをモデルとして管の短いものに改良され、ほぼ今日の形となった。今日では三つのバルブがつけられ、右手の操作によって管長が段階的に変えられて7系列の倍音が出せるようになっている。B♭管、C管、E♭管がもっとも一般的で、そのほかに小形で1オクターブ高いB♭管(ピッコロ・トランペット)や、管を巻かずにまっすぐにつくったアイーダ・トランペット(ベルディのオペラ『アイーダ』の凱旋 (がいせん)のシーンで舞台において演奏される)などもある。また、クラシック、ジャズ、ラテン音楽、演歌、ポップスと幅広い音楽のジャンルで主役として大活躍しているのもトランペットの最大の特徴といえる。

※情報はWikipediaより抜粋